これが20世紀の音楽!

さて、「Musica14.8」デビューコンサートまであと10日となりました。

解説と呼ぶのには、演奏家サイドから感じた事をつらつらと書き連ねた拙文で、専門家さんから見れば???な内容であったかも知れませんが、このページへ今回の演奏曲目についての書き込みをするのも、今回が最終回です。(やたー!)

 

バルトークの「弦楽の為のディベルティメント」ほど、いろんな要素を内包した作品はなかなか少ないと思います。まず、生涯をかけてその情熱を注ぎ続けられたハンガリー各地の民族音楽調査のもたらした成果は、エキゾチックな東欧の魅力を我々に生々しく伝えてくれます。それも彼独特の斬新な和声、躍動的なリズムに乗って・・・それでいてバロック・古典に通ずる和声進行、様式感はちゃんと残されているところがバルトークのマジックです。調性感の支配下にある無調性、とでも言えば良いのかな?一見無秩序に見えても、実はよく見ると、とてつもなく大きな流れの中で呼吸をしているかのような宇宙的な広がり・・・これは20世紀音楽のひとつの到達点を見る名曲だと思います。1939年、彼の創作活動の頂点、第二次世界大戦が勃発してアメリカに移住する前に書かれた傑作です。

 

余談ではありますが、先のストラヴィンスキーは1881年ロシア生まれ、バルトークは1882年ハンガリー生まれで一歳違いです。共にヨーロッパでその才能を開花し、活動した後に、ストラヴィンスキーは1939年・57歳の時に、バルトークはその翌1940年・59歳の時にアメリカに渡りました。この時代に、なんと多くの芸術家がアメリカ大陸に渡ったこと!その後、バルトークは1945年に64歳で、ストラヴィンスキーは1971年に89歳で、共にニューヨークでこの世を去りました。

20世紀は世界戦争の世紀でした。(今もなお、人間は戦争を続けていますが・・・)

そして、音楽だけでなく芸術全般が新たな表現領域に足を踏み入れた世紀であったと思います。

これらの革新的な芸術活動とふたつの世界大戦は時期的に同じ頃で、いろんな側面から切っても切れない関係にあると思います。それは、人間の闇の部分や、心の叫び、本来持っている生命力が、時に意識的に、また時に無意識に溢れ出た活動だったのかも知れません。